神通寺 住職の日記(旧タイプ)

2014年までの記録保存用です。

ご法事で、嬉しいことがありました。

今日のお昼、ご門徒さんの1周忌法要が営まれました。
ご自宅でおつとめ・焼香のあと、私からご法話
「縁起」の思想をかみ砕いてお話ししながら、
関わり合い、支え合っている命をいただいていることをお伝えしました。

その後、場所を移動して、お振る舞いの宴席に先立ち、
施主である、故人の息子さん(40歳)がご挨拶。

「父が亡くなってから1年間、いろんな出来事がありました。
あのとき、妻のお腹にいたこの子が生まれ、今では七ヶ月になりました。
子育てをしながら、夜泣きや病気などで自分の思い通りにならない子どもの日常の中で、
いろんなストレスが溜まることがありました。
夜中に子どもをあやしながら、ぐっすり眠りたいという欲求にかられたこともありました。
でも、そんなとき、息を引き取る間際の父の姿を思い出すのです。

まるで、途中で呼吸することを忘れているかのように、
息が止まりそうな父でしたが、救急講習で習った呼吸法を施しながら、
少しでも命を長らえようと努力しました。
結局、最後は私の思いも届かず、息を引き取りました。

やがて生まれてきた我が子をあやしながら、
ちょと夜泣きが収まらないといって、イライライしている自分の姿に、
ふっと父の姿が思い出されたのです。

ああ、あの父も、40年前に、私をこうやってあやしてくれていたんだなあ。

そう思ったら、生まれて40年たって、初めて心の底から父に「ありがとう」と言えました。
同時に、今まで子育てでためていたストレスが一気に吹っ飛んで、
晴れやかな気持ちで子育てに向かうことが出来るようになりました。
きっと、父が私に40年掛けて伝えてくれたんだと思います。
ありがとうございました。」

ああ、これって、仏教の縁起の世界ですよね。
亡き父と、目の前にいる我が子が、自分に大切なことを伝えてくれている。
父にも、我が子にも、「ありがとう」と言える世界。
「おかげさま」といえる世界。
すごく感動的な、うれしい挨拶でした。

これ、来月の寺報で載せたいと思います。(^_^;)