神通寺 住職の日記(旧タイプ)

2014年までの記録保存用です。

お参り雑感。

数日前のことですが、
お参りに行ったときに、親・子・孫の3代でお参り下さったご家庭がありました。
お孫さんは、3歳くらいの子が二人。
で、お勤めの準備をしている段階から、
「ぼく、おまいり、やだ~!!」
といって、お母さんを困らせています。
私は、お灯明の準備をしながら、
「とにかく、お部屋から出て行っちゃダメだよ~」
と呼びかけながら、おつとめをしました。
子どもたちも、最初はちょっと騒いでいましたが、
途中から、少しずつ静かになっていったみたいです。
 
お参りが済んで、お母さんやおばあちゃんが平謝り。
「すいません、いつもは素直に手を合わせる子たちなのに、今日はうるさくって。」
 
で、私もお茶をいただきながら、こんな話をしました。
 
「うちの子どもたちが小さいときも、こんな感じでしたよ。
お客さんが来ると、急に悪さをしたり、騒いだりするのは、なんでだろうって。
で、ある新聞の記事を見て、その謎が解けました。
こどもたちの思いは、ただ一つ。
『お母さん、僕のほうを見て。僕のことを認めて。』
その一点に尽きるんだそうです。
だから、お客さんが来て、お母さんの注目が自分からそれてしまうと、
自分の方を向いてもらうために、わざと騒いだり、悪いことをするんです。
だから、騒いだ子どもを大声でしかるばかりでは、
『騒いだり悪さをすれば、お母さんが僕の方を向いてくれる』
という学習をして、ますます騒いだり、悪さをしてしまう。
子どもが騒いだら、できるだけ低いトーンでその子を諭しながら、
静かにしているときに、思いっきり褒めてあげると、
『静かにしているときに、お母さんが僕のことを認めてくれる』
という学習をしますから、少しずつ静かにすることを覚えていきますよね。
この子たちは、お母さんが大好きでたまらないんですよ。」
 
そんなことをお話しながら、お茶をいただきました。
 
このご家庭でうれしかったのは、
子どもが騒いでも、決して部屋から追い出さなかったこと。
だって、子どもたちはお母さんに自分のほうを向いて欲しいんです。
自分のことを認めて欲しいんです。
その思いを受け止めながら、一緒に手を合わせてくれる子どもたちに
『ありがとうね。お母さんはうれしいよ。これからも一緒にお参りしようね。』
そんなことばを伝えてあげられたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
だから、私にとって本当にうれしいお参りとなりました。
 
逆に、お参りの時に子どもたちを仏間から追い出してしまうご家庭もたまにありますが、
それって、私にはとても悲しいことです。
おうちにおられる皆さん全員で、
一緒にお参りいただける家庭であってほしいなあ、と、つくづく思います。